2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01569
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蓑島 維文 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNAアルキル化剤 / 塩基配列特異的 / ピロール-イミダゾール / 抗がん / シトシンのメチル化 |
Research Abstract |
当研究室ではDNAの塩基配列を特異的に認識し、アルキル化反応を引き起こす化合物の開発を行ってきた。配列認識部位としてピロール-イミダゾールポリアミドを、DNAアルキル化部位としてseco-CBIを用いている。申請者は当該年度において主にがんの増殖に関連する遺伝子に対してこれらの化合物が示す影響を調べてきた。その成果としてヒストン(Histone H4c)の遺伝子が持つ配列に対してアルキル化する化合物を作り、その遺伝子の発現が抑制されることを明らかにした。もう1つのアプローチとして多種類の化合物ライブラリーの中から特定のがん細胞に対して顕著な抗がん活性を示すアルキル化剤を選択する手法の開発に向けて実験を行った。その準備段階として、比較的安価に入手できるアルキル化剤chlorambucilを用いてその導入位置の検討を行った。ポリアミドの認識配列の近くでアルキル化が行われたが、その反応性、配列選択性の程度は連結部位によって大きく変わることが明らかとなった。これらの知見を基に多様な配列特異的アルキル化剤の合成を進めていく。 核内のDNAにはシトシンのメチル化という修飾が起こり、転写の制御やゲノムの安定性の維持に寄与している。修飾状態の変化は細胞のがん化などにも関連している。そこでシトシンのメチル化が行われた時にピロール-イミダゾールポリアミドとDNAとの結合能に変化があるかどうかを調べた。5'-CGCG-3'塩基配列に結合する化合物を合成し、5'-mCGniCG-3'(mC=5-メチルシトシン)配列に対しての結合を表面プラズモン共鳴法で解析、比較した。その結果、メチル化されているDNAの方が少し強く結合するという結果が得られ、高度にメチル化されているプロモーター領域などをピロール-イミダゾールポリアミドで標的とする可能性を提示することができた。
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