2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01572
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 幹大 Kanazawa University, 自然科学研究科, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 生物物理 / ナノバイオ / 生体分子 / 蛋白質 / 原子間力顕微鏡 / イメージング / 膜タンパク質 / プロトンポンプ |
Research Abstract |
本研究は高速原子間力顕微鏡(高速AFM)をイオン輸送タンパク質であるバクテリオロドプシン(光駆動プロトンポンプ)に適用し、バクテリオロドプシンが光を受けて機能を発現する際の構造変化を直接計測(可視化)し、どのような構造変化を起こすのかを明らかにすることが目的である。 1.バクテリオロドプシン変異体には、暗状態でもpH変化により、構造変化を起こすタンパク質(D85N,D85N/D96N)が報告されている。D85N変異体は、中性pHでは野生型の基底状態と同様の構造を示すが、アルカリpH(pH>10)では野生型の光励起中間体であるM中間体と同様の構造を示すことが知られている。また、D85N/D96N変異体は中性pHで既に野生型のM中間体と同様の構造を示す。そこで1年目は、これら変異タンパク質の高速AFM計測を行い、どのような条件(走査範囲nmやpixel数)で、どのようなAFM画像(空間分解能nm)を得ることができれば、基底状態と中間体状態の2つの構造が区別できるのかを調べた。最初にAFM画像の空間分解能と密接に関係しているTipの改良に取り組んだ。AFMはカンチレバーに取り付けられたTipの先端で試料表面をなぞり凹凸情報をイメージングするため、Tip先端が鋭いほど空間分解能の高い画像が得られる。そのため、バクテリオロドプシン1分子を認識できるほど先端の鋭いTipを再現よく作成できる条件を検討した。さらにAFMデータのノイズをできるだけ少なくするため、高速AFM用スキャナーに改良を加えた。これらの工夫により、走査範囲30×30nm,200pixelsの条件でAFM計測を行えば、バクテリオロドプシンの2つの構造(基底状態と中間体状態)を明確に区別できることが分かった。特に、アルカリpHでのD85Nバクテリオロドプシン1分子は、中性pHと比べて、タンパク質の中心から外側へ開いている構造が確認できた。また、D85N/D96N変異タンパク質も同様に外側へ開いている構造を観測することができた。
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Research Products
(4 results)