2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01572
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 幹大 金沢大学, 数物化学系, 特別研究員(SPD)
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Keywords | 生理物理 / ナノバイオ / 生体分子 / タンパク質 / 原子間力顕微鏡 / イメージング / 膜タンパク質 / プロトンポンプ |
Research Abstract |
本研究は高速原子間力顕微鏡(高速AFM)を光駆動プロトンポンプタンパク質、バクテリオロドプシン(bR)に適用し、bRが光を受容し機能する際に起こる構造変化を直接観察し、どのような構造変化を起こすのかを明らかにすることが目的である。 1.bRは暗状態で570nm程度に極大吸収をもち、光で開始される反応サイクル中に、410nm程度に極大吸収をもつ中間体(M中間体)を生成する。本年度は、緑色の光(532nm)と、青色の光(408nm)を照射することで、高速AFMで観察されたbRの構造変化がどの中間体に由来するのかを明らかにした。最初に,緑色の光照射(532nm)によってbRの構造変化が開始される。この構造変化したbRに冑色の光(408nm)を照射すると、構造が元の状態へ戻る様子が観察された。この結果は観察されたbRの構造変化は光反応サイクル中に生成されるM中間体であるという直接的証拠であると共に、タンパク質表面で起こる大きな構造変化は、タンパク質内部に位置する小さな発色団の異性化状態で決められていると結論できる。 2.bRのAsp85をThrやSerに置換したbR変異体D85T,D85SはC^-ポンプになることが知られている。そこで、C^-をポンプするbR変異体D85Sに対して高速AFMを適用し、プロトンとは逆向きに.C^-をポンプする際に起こる構造変化を直接可視化することを試みた。その結果、低C^-濃度下での高速AFM観察により細胞外表面で構造が変化する様子が観察された。C^-結合型の細胞外表面は固い構造をとるように見えるが、非結合型の場合は緩い構造をとるように見える。プロトンポンプタンパク質の場合、プロトンは細胞質から取り込まれ、構造変化は細胞質表面に限られる。一方、C^-ポンプタンパク質の場合、C^-は細胞外から取り込まれ、構造変化は細胞外表面で起こる。イオンを取り込む側と、構造変化する部位には相関があり、これらの結果はイオンポンプタンパク質において、大きな構造変化はイオンを取り込む部位に必要であると結論できる。
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Research Products
(11 results)