2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01579
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊東 聖哉 Tokyo University of Science, 理工学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 糖鎖 / 分子認識 / 抗体 / 自己組織化 / ナノ材料 / 糖脂質マイクロドメイン / 糖脂質型バイオサーファクタント / 原子間力顕微鏡(AFM) |
Research Abstract |
生体膜中に存在する糖脂質は、局在化し糖脂質マイクロドメインを形成することにより分子認識やシグナル伝達に関して中心的な役割を担っている。糖脂質1分子の認識力は弱くても、それが集合してドメインを形成すれば高い認識力を発揮することが可能であり、糖脂質マイクロドメインには、分子認識材料としての大きな期待が寄せられている。本研究では糖脂質マイクロドメインによる分子認識能の直接的証明を目的とすると共に、その高度な分子認識能を活用した新規材料を世界に先駆けて提供することを目指す。特に本年度は、糖脂質型バイオサーファクタントであるMELをモデル糖脂質として利用し、他の有機マトリクス(リン脂質等)と組み合わせることで、糖脂質マイクロドメインを人工的に構築し、その分子認識能の直接的証明を目指した。 MELと各種リン脂質の混合単分子膜を気-液界面上に調製し、混合単分子膜の表面圧と分子占有面積の関係およびMELの混和による過剰自由エネルギーを算出した。その結果、MELマイクロドメインの構築には、リン脂質としてフォスファチジルコリンジパルミトイル(DPPC)を用いるのが適当であることを見出した。また、MELとリン脂質間には反発性の相互作用が確認され、MEL同士間に比較的強い相互作用が存在することが示唆された。当該相互作用は糖鎖間の水素結合に起因していると予想される。次に、MEL/DPPC混合単分子膜を原子間力顕微鏡(AFM)により観察した所、ネットワーク状のMELマイクロドメインを観察することに成功した。当マイクロドメインは、DPPCの組成の変化させることにより、その形成の制御が可能であった。さらに、MEL/DPPC混合単分子膜の分子認識能をAFMを用いて検証した。その結果、混合単分子膜においてMELはマイクロドメインを形成することによって初めて高い分子認識能を発揮することを明らかにした。本結果は、糖脂質マイクロドメインによる分子認識能の直接的証拠を世界に先駆けて提示するものである。
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Research Products
(5 results)