2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01579
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
伊東 聖哉 Tokyo University of Science, 理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 糖脂質 / 糖脂質マイクロドメイン / 糖脂質型バイオサーファクタント / 材料化 / 原子間力顕微鏡(AFM) / 表面プラズモン共鳴法(SPR) |
Research Abstract |
生体膜中に存在する糖脂質は、局在化し糖脂質マイクロドメインを形成することにより分子認識やシグナル伝達に関して中心的な役割を担っている。糖脂質1分子の認識力は弱くても、それが集合してドメインを形成すれば高い認識力を発揮することが可能であり、糖脂質マイクロドメインには、分子認識材料としての大きな期待が寄せられている。本研究では糖脂質マイクロドメインによる分子認識能の直接的証明を目的とすると共に、その高度な分子認識能を活用した新規材料を世界に先駆けて提供することを目指す。昨年度は、糖脂質型バイオサーファクタントであるMELをモデル糖脂質として利用し、糖脂質マイクロドメインを人工的に構築し、その分子認識能の直接的証明を行った。本年度は、MELマイクロドメインを活用した新規材料(有用タンパク質である抗体用のアフィニティーカラム)を創製することを目的とした。 まず、MELマイクロドメインを構築するために最適な担体のスクリーニングを行った。その結果、MELマイクロドメインを自己組織化するのに適した表面の粗さや細孔径を有する担体(ポリマービーズ)を見出した。当担体と抗体とのアフィニティー(結合定数)を検討したところ、結合定数が10^6M^<-1>程度という高いアフィニティーを示すことが判った。次に、実際にカラムを作成し、MELマイクロドメインを活用した抗体分離システムを構築した。種々の条件を最適化したところ、当カラムの抗体結合量は、市販カラム(プロテインAカラム)の1/7程度にまで達した。当カラム(数千円~数万円/kg)は、プロテインAカラム(100万円/kg)は全く異なるメカニズムで抗体と結合しており、コスト面においても圧倒的に利点がある。当カラムは、糖脂質マイクロドメインを実用レベルで応用した世界で初めての例である。
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Research Products
(3 results)