2008 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチンリガーゼFbxw7によるGO期維持機構と幹細胞に関する研究
Project/Area Number |
08J01581
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松本 有樹修 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 癌幹細胞 / 癌治療 / 細胞周期 / 慢性骨髄性白血病 / ノックアウトマウス / Fbxw7 / p57 |
Research Abstract |
近年、癌の発症や進展に関して『癌幹細胞』という概念が提唱され、癌は幹細胞性疾患として考えられるようになってきている。また、白血病幹細胞は造血幹細胞から発生するといわれており、白血病幹細胞と造血幹細胞は性質的に非常に類似している。正常幹細胞の維持に関わる分子が癌幹細胞の維持にも関わっていると考えられ、癌幹細胞においてこれらの分子の機能を抑えることが癌治療において役立つものと考えられる。われわれは昨年度までに正常造血幹細胞の維持にかかわるとされる分子のコンディショナルノックアウト(CKO)マウスを2種類作製した。 Fbxw7は細胞周期を促進する分子を分解することで細胞周期を停止させる。またp57は直接細胞周期の抑制に関与していることが知られている。昨年度までにわれわれはこれら二つのCKOマウスが、正常造血幹細胞が幹細胞としての機能を維持できず枯渇してしまうことを明らかにした。 次にわれわれはこれらの分子が癌幹細胞の機能維持にかかわっているかどうかを検討するために、これらを検討する実験系の確立を昨年度までに行った。われわれは白血病のモデルとして慢性骨髄性白血病(CML)を用いることにした。CMLの白血病幹細胞は正常幹細胞から生じると考えられており、CMLの白血病幹細胞は細胞周期が停止していることが知られている。Bcr-Abl遺伝子を正常骨髄細胞に感染させて正常マウスに移植すると、移植後2〜3週間で、全例CMLを発症して死亡することを昨年度までに確認した。本年度からは、Fbxw7やp57CKOマウスの骨髄細胞にCMLを誘導して、実際に白血病幹細胞の動態を確認していく。
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