2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01603
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小嶋 崇弘 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 著作権 / 権利制限 / 3 step test / ベルヌ条約 / TRIPs協定 / WIPO著作権条約 / FTA / TRIPsプラス |
Research Abstract |
本研究の目的は,インターネットや複製技術の発展に伴い生じた,現行著作権法の権利制限規定では対応することが困難になっている種々の利用行為について解決策を探ること,及び,これらの個別の研究を通して得られた知見を総合して,著作権の制限一般に関する理論的枠組みを構築することである。平成21年度は,著作権の制限規定の解釈と3 step testの関係について研究を行った。現在我が国では、既存の権利制限規定によって十分な対応が図られていないとされる利用行為について、裁判所により条文の解釈の柔軟化が図られてり、新規立法へ向けた検討が行われている。その際には、権利制限に関する国際条約上の義務である3 step testに整合的でなければならない。我が国の従来の学説は、3 step testを規定の文言に忠実に解する傾向が強かったが、それでは権利制限を設けることについての各国の立法裁量が過度に狭められてしまうおそれがある。とりわけ、今日では、TRIPs協定や自由貿易協定(FTA)によって知的財産権の保護水準が大幅に高められており、公衆の利益を確保するためにも各国が新たに権利制限を設ける必要性は高まっている。そこで、本研究は、近時の諸外国の議論を参照しつつ、3 step testを公衆の利益を考慮に入れる形で柔軟に解釈する手法を提示した。また、近時、公衆の利益を確保することを目的に、WIPO等をフォーラムとして、著作権に関する義務的な権利制限規定を含む条約の検討作業が行われている。諸外国の近時の学説もこのような傾向(「シーリング・アプローチ」等と呼ばれている)を支持するものが多い。そこで、本研究では、WIPOにおける条約の交渉過程を検討することに加えて、上記の3 step testの解釈を柔軟化する手法と当該アプローチを比較し、それぞれの長所短所を明らかにした。
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Research Products
(4 results)