2008 Fiscal Year Annual Research Report
スピン導入型核酸塩基の自己集合を利用した有機フェリ磁性体の構築
Project/Area Number |
08J01607
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田中 啓之 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 有機フェリ磁性体 / 核酸塩基 / 自己集合 / 有機磁性体 / ニトロニルニトロキシド / 水素結合 / オリゴヌクレオチド / 磁気結合 |
Research Abstract |
1.平面型スピン導入型核酸塩基の設計・合成と物性評価 有機磁性体の磁気的性質は,分子間の交換相互作用により決まる.そのため,望みの磁気的性質を得るためには分子パッキングの制御が不可欠である.分子間の交換相互作用が,ラジカル部位間のパッキングに強く依存することから,分子骨格が高い平面性を有する3種の開殻分子種を設計した.2重項分子として,ジアミノトリアジン置換ニトロニルニトロキシド(DAT-NN)を合成し,結晶構造解析より高い平面性を有することを確認した.また,^1H-ENDORスペクトルの測定より,DAT部位のスピン密度は小さく,分子配列のみに寄与することを明らかにした.また,基底3重項ビラジカルとして,天然型核酸塩基であるウラシルと人工塩基であるイソシトシンにm-フェニレンニトロキシドビラジカルを導入したビラジカルを合成した. 2.溶液中でのオリゴヌクレオチドとの分子会合・磁気結合の検証 多成分分子スピン集積系での分子会合を調べる前に,開殼分子がオリゴヌクレオチドに集積化した際のラジカル部位間のスピン-スピン相互作用に関する詳細なデータを得るために,3本のオリゴヌクレオチドから構成される3鎖系オリゴヌクレオチドを集積場として利用する2スピンモデル系を設計した.3鎖系オリゴヌクレオチドのUV-vis吸収スペクトルの温度変化の測定より,融解温度が室温以上(55〜60℃)であることを明らかにした.その3鎖系オリゴヌクレオチドとウラシル置換ニトロニルニトロキシド(U-NN)との錯形成の結果,U-NNの3鎖系オリゴヌクレオチドへの集積化を示唆する熱励起3重項由来のESR禁制遷移を観測した.この結果から,核酸塩基間の相補的・選択的な水素結合により開殼分子を選択的に集積化させ,ラジカル部位間の磁気結合が可能であることを示した.
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Research Products
(3 results)