2008 Fiscal Year Annual Research Report
著作権政策形成過程の分析-戦略的利益団体と法的整合性がもたらす法改正への影響-
Project/Area Number |
08J01611
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
京 俊介 Osaka University, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 利益団体 / 利益集団 / 政治的影響力 / 著作権法 / 官僚制 |
Research Abstract |
研究期間の初年度にあたる今年度は,主として二つの作業を行った。第一に,1985年に行われたコンピュータ・プログラム著作権創設に至る政治過程の事例分析である。第二に,1970年に行われた著作権法全面改正の事例分析である。以下,二つの作業についてより詳しく述べる。 第一の作業においては,「法の整合性」による法改正への影響に注目した分析を行った。扱った事例は新規政策分野の管轄をめぐる官庁間の対立が存在するものであった。従来の理解では,このような類型の事例は,より多くの権限や資源を獲得しようとする複数の官庁による縄張り争いであると捉えられてきた。しかし,分析の結果,官庁が「法の整合性」を重視することによって新規政策分野の管轄を志向する場合もあることが明らかになった。この研究成果については,学会において報告用論文および口頭によって報告を行った。 第二の作業においては,戦略的利益団体の行動を明らかにするための準備段階として,利益団体のもつ政治的影響力を測定することを試みた。従来の日本政治研究においては,利益団体の政治的影響力は実証的に明らかにされているとはいえない状態であった。これに対し,影響力以外に政策帰結に影響を与え得る要因をコントロールする手法を採用することにより,影響力を実証的に明らかにするとともに,事例ごとに影響力に差異があることを析出した。この研究成果については,学内紀要(査読付)において論文として公表した。この影響力の差異を生み出す要因を明らかにすることは,次年度の課題の一つである。
|
Research Products
(2 results)