2008 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁場計測によるトップダウン注意の脳内メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J01630
|
Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
綾部 友亮 The Graduate University for Advanced Studies, 生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | トップダウン注意 / 脳磁場計測(MEG) / 前頭-頭頂ネットワーク |
Research Abstract |
本年度は物体的トップダウン注意の神経機構を解明するため、脳磁場計測装置(MEG)を用いて実験を行った。ヒトのトップダウン注意の実現には、複数の脳活動の時間的変化により実現されることが示唆されているため、トップダウン注意の神経ネットワークを解明する研究においてはMEGの適用が最も適していると考えられる。本実験では前頭-頭頂ネットワークと有線外皮質の活動の関連を、MEGを用いて明らかにしようとした。実験条件の呈示刺激は半透明の顔画像と家画像を重畳させ、被験者はいずれかの刺激の弁別を行った(注意条件)。統制実験では、重畳画像の他に時計画像を挿入し、それに対して可能なかぎり素早く反応を行った。その結果、いずれの条件でも重畳画像の刺激呈示後100、170、230ミリ秒で、それぞれ一次視覚皮質、下側頭皮質、上側頭溝で活動が見られた。注意条件では統制条件よりも、下側頭皮質と上側頭溝の活動強度が有意に大きくなった。活動潜時に変化はなかった。これらの結果から、物体的トップダウン注意は170、230ミリ秒の脳活動に影響を与えることが分かった。また注意条件のみにおいて、数人の被験者は刺激呈示後およそ170ミリ秒で右前頭前野の活動が見られていたが、頭頂皮質の活動を示した被験者は皆無であった。このことは、物体的トップダウン注意には頭頂皮質よりも前頭前野の活動が関わっていることを示唆するのもかもしれない。今後は周波数解析の手法を用いて、前頭前野の活動をさらに浮き彫りにすることを考えている。
|
Research Products
(5 results)