2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機単結晶のヘテロ接合による界面電子伝導層の創製とデバイス機能の研究
Project/Area Number |
08J01640
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山岸 正和 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機半導体 / 電界効果トランジスタ / 電荷移動 |
Research Abstract |
本研究では、電子供与性有機結晶と電子求引性有機結晶のヘテロ接合を作製し、その界面での電荷移動によって、界面近傍に高移動度の電子伝導層を構築し、この新規ハイブリッド材料の界面電子系を超伝導などの物性発現、及びデバイスへの応用に結びつけることを目的としている。今年度は、FET構造を用いて、表面で高いキャリア移動度を示す有機半導体の選定及び代表的なアクセプタとドナーを用いて界面の作製を行った。以下で、測定したいくつかの有機半導体の中から高い電子移動度を示したTCNQ単結晶トランジスタと、電荷移動の界面と電界効果を組み合わせることで二次元の電荷移動界面のキャリア伝導に関して、新しい結果が得られたので報告する。[TCNQ単結晶トランジスタ]大気成分よりも電子吸引性の強いTCNQ分子を用いた有機単結晶トランジスタを構成し、はじめて大気中で良好なn型トランジスタ特性を得ることに成功した。単結晶中のキャリア移動度は、過去に真空下で測定されたTCNQ多結晶薄膜トランジスタの値に比べ、3桁も大きな値を示した。また、通常のSiO_2基板ではノーマリーオンの特性を示すが、基板を自己組織化単分子膜で処理することによって、閾電圧がほぼ0Vになることが分かった。[アクセプタ/ドナー界面のキャリア伝導]優れたホール移動度を示すドナーであるルブレン単結晶と代表的なアクセプタであるTCNQ単結晶及びF4TCNQ薄膜を用いてアクセプタ/ドナーの電荷移動界面の特性を評価した。2種類の電荷移動界面にゲート電界をかけて正孔または電子の量を調節することによって、電荷移動界面では正孔および電子の両方が伝導できることを示唆する結果が得られた。今後は、より電子求引性の強い分子や電子供与性の高い分子を用いて結晶及び積層構造を作製し、伝導度やホール係数を低温において精密測定する。
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