2009 Fiscal Year Annual Research Report
有機単結晶のヘテロ接合による界面電子伝導層の創製とデバイス機能の研究
Project/Area Number |
08J01640
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山岸 正和 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有機半導体 / 電界効果トランジスタ / ホール効果 |
Research Abstract |
本研究では、有機半導体層の絶縁体/半導体界面やキャリアドープ層/半導体界面などのヘテロ接合界面近傍に高移動度かつ高キャリア密度の電子伝導層を構築し、この新奇ハイブリッド材料の界面電子系を超伝導などの物性発現およびデバイスへの応用に結びつけることを目的としている。今年度は、FET構造を用いて、多結晶薄膜、結晶性塗布膜、単結晶など形態の異なるいくつかの有機半導体層のホール効果測定を行い、有機半導体/絶縁体界面におけるキャリアの基本的な電子状態と伝導機構の違いを明らかにした。また、単結晶/単分子膜界面に形成した電子伝導層における微視的な伝導機構も明らかにした。以下に、応用上重要である高移動度を示すDNTT多結晶薄膜FETと、電気二重層を絶縁体に用いることで高キャリア注入および低電圧駆動を実現している単結晶/イオン液体FETについて報告する。[DNTT多結晶薄膜トランジスタのキャリア伝導機構]大気中で高い移動度が報告されているp型有機半導体であるDNTT分子を用いて、多結晶蒸着薄膜および単結晶FETを構成し、ホール効果測定を行った。その結果、多結晶薄膜中および単結晶中で正孔が分子間に非局在化して自由電子的な電子状態であることがわかった。さらに低温測定によって、多結晶薄膜のグレイン内において正孔はバンド伝導的であるにも関わらず、移動度が減少することを明らかにした。[ルブレン単結晶/イオン液体トランジスタ]高移動度を示すルブレン単結晶を用いたイオン液体電気二重層FETを作製し、ホール効果測定を行った。その結果、モバイルなイオンが存在するルブレン単結晶/イオン液体界面においても、通常の固体絶縁体/有機半導体界面と同様にバンド伝導していることを明らかにした。また、実際に酸化シリコンなどの通常の絶縁体に比べ、1桁程度高キャリア密度を実現していることがわかった。
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