2008 Fiscal Year Annual Research Report
巨核球造血におけるapoptosisの役割と血小板産生のメカニズムの解明
Project/Area Number |
08J01649
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
上妻 行則 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 巨核球 / 造血幹細胞 / 血小板 / bc1-2 / apoptosis / caspase-3 |
Research Abstract |
巨核球造血研究は、トロンボポエチン(TPO)の発見以降飛躍的に進歩したが、巨核球自体脆弱なために研究材料として扱い難く、研究が遅れた。しかし、巨核球から血小板が産生される様子が、apoptosisの形態学的特徴に類似することや培養巨核球がapoptosisに陥りやすいという報告から、近年血小板産生へのapoptosisの関与が支持される傾向にあるが、未だ不明な点も多い。そこで、巨核球造血へのcaspase-活性化の関与を解明するために、bc1-2遺伝子を血液細胞に過剰発現させたvav-bc1-2トランスジェニック(Tg)マウスを用いて研究を行った。生体内における血小板産生能を5-FU投与により評価した結果、野生型では投与後8日目以降に血小板数のovershootが認められたが、Tgではみられなかった。また5-FU投与後血小板回復期のTg骨髄内巨核球数は有意に低下し、未熟巨核球比率の低下が明らかとなった。この原因を探索するために、造血幹細胞から巨核球への分化能を検討した結果、造血幹細胞から巨核球への分化は低下していた。以上より、Tgマウスでは造血幹細胞から巨核球への初期分化が障害されているものと考えられた。そこで、初期巨核球造血におけるcaspase活性化の関与を検討するために、造血前駆細胞にcaspase阻害剤を添加したところ巨核球コロニー形成能が低下した。初期巨核球造血におけるcaspaseの活性化を測定した結果、培養6時間後にcaspase-3活性化が認められた。最後に、血小板産生へのcaspase活性化の関与を検討したが、巨核球胞体突起形成能は両者で有意な差はなく、caspase阻害剤添加も胞体突起形成能に影響を与えなかった。以上より、caspase活性化は初期巨核球造血に関与するが、成熟巨核球からの血小板産生にcaspase活性化は関与しないと考えられた。
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Research Products
(4 results)