2008 Fiscal Year Annual Research Report
美濃派俳書の研究-美濃派の俳壇経営と道統継承をめぐって
Project/Area Number |
08J01656
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鹿島 美千代 University of Tsukuba, 図書館情報メディア研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 美濃派 / 橘屋治兵衛 / 俳諧書籍目録 / 俳書出版書肆 / 出版目録 / 書誌学 / 図書館資料 / 人文社会情報学 |
Research Abstract |
江戸中期から後期における約3000点の美濃派俳書について悉皆調査を行った。その結果に基づき、今年度は論文を3本発表し、学会での口頭発表を1回行った。 1橘屋治兵衛の出版目録について-付『俳諧書籍目録』(東京大学総合図書館洒竹文庫蔵)翻刻 2日本図書館研究会愛知研究例会報告<第174回>俳諧書肆橘屋治兵衛について 3雲止編『初一念』における美濃の旅-百茶坊訪問と五竹坊の墓(岐阜県本巣市政田・本巣郡北方町) 1では、美濃派と連携し江戸時代を通じて多くの俳書を出版した橘屋治兵衛の出版目録の翻刻を行った上で考察を加えた。本目録は文政年間までの美濃派俳人によって編纂された俳書をほぼ網羅した資料でもある。丁付や目録に重複掲出された俳書を検討することによって、出版目録の成立過程、また橘屋治兵衛の代替わりの可能性ついても示唆した。 2は、1で得られた研究成果を進展させ、書誌学的・情報学的な見地から美濃派俳書及び美濃派の実態について報告したものである。なお本報告は「俳諧書肆橘屋治兵衛について」と題して口頭発表を行った際の概要をまとめたものである。美濃派が膨大な数の俳書を出版することができたのは、その体裁の画一性によるものであった。また江戸中期以降は、美濃派の門人構成や連携した版元の橘屋治兵衛との関係も変化する。一連の事象の考察から、時代潮流の影響を受けながら、マスコミと、そのマスコミの扱う内容とが密接に関係し合い、相互に影響を与えていたことを証明した。 3では、紀伊国和歌山住の僧侶雲止編になる俳諧紀行文『初一念』を紹介した。美濃国各地に住む道統宗匠らのもとを訪問するなど、美濃派俳人による行脚の一典型であることを論じた。
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Research Products
(4 results)