2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01697
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大平 豊 Osaka University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超新星残骸 / 衝撃波 / プラズマ / 粒子加速 |
Research Abstract |
電波からカンマ線にわたる多波長観測により、超新星残骸無衝突衝撃波では、ほとんどの電子は数keVにまで加熱され、一部の電子は100TeVにまで加速されていることが示唆されている。また、磁場の増幅も生じていることが示唆されているが、これらの物理的機構は理解されていない。本年度は、特に電子加熱と磁場の増幅について重点をおいて研究を行った。 まず、超新星残骸衝撃波の遷移層の状態をモデル化し、無衝突プラズマの線形解析を行い、斜め伝搬するイオン2流体不安定性が生じることを世界で初めて示した。さらにプラズマ粒子シミュレーションによって、その非線形発展を調べ、世界で初めて観測されている超新星残骸の電子温度を再現し、私が発見しだ不安定性がないと観測を説明できないことを示した。 また磁場の増幅機構として、加速された宇宙線と星間空間プラズマとの間のプラズマ不安定性についてシミュレーションを行い、磁場をどの程度増幅できるのか、プラズマをどの程度加熱するのかを調べた。私は、与えられた自由エネルギーの内半分が磁場で、残りがプラズマの熱エネルギーになることを示した。また、この不安定性に関する周期境界のシミュレーションの欠点を明らかにした。また磁場の増幅機構として、星間空間に存在している水素原子が衝撃波下流でイオン化する際に、無衝突プラズマ不安定性が生じ磁場が増幅する機構を世界で初めて提唱した。これによって、磁場の増幅、観測されているX線フィラメント、時間変動と電波のスペクトルのベキが一度に説明できる。
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Research Products
(4 results)