2008 Fiscal Year Annual Research Report
フォトトロピンを介した核光定位運動の生理学的意義及び三次元ライブセルイメージング
Project/Area Number |
08J01712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩渕 功誠 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 青色光 / 核 / 核光定位運動 / フォトトピン |
Research Abstract |
高等植物であるシロイヌナズナの葉では、細胞核が青色光に依存して細胞内で位置を変えるという現象が見られる。これは核光定位運動と呼ばれる。私はこの運動を発見し、関与する光受容体は青色光受容体フォトトロピン2であること、運動の制御にアクチン細胞骨格が関与することなどを明らかにした。しかし、核光定位運動の生理学的意義は未解明である。核光定位運動は強い青色光によって特異的に誘導されること、核はまるで光を避けるかのように入射光に対して平行な面に定位することから、この運動は過剰光が引き起すDNA損傷に対する防御応答の一つと考えられる。この可能性を検証するため、葉に強い青色光を照射した時に核のDNAが傷つくか調べた。DNA損傷をリアルタイム定量PCR法により定量化したところ、青色光照射時間に依存してDNAに傷ができることが明らかになった。紫外線照射によりDNAが損傷するということは知られているが、可視光である青色光によりDNAが傷つくということは植物においては知られていなかった。DNA上に傷ができると複製や転写が阻害され、結果的に細胞分裂の停止やmRNA量の低下などが起きる。核は青色光によるDNA損傷を回避する為に細胞内で存在場所を変えるのであれば、この運動の重要性は言うまでもないだろう。今後は、核が青色光に応答しない変異体を用いて解析を行い、核の位置とDNA損傷との関係を明らかにする。
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Research Products
(2 results)