2009 Fiscal Year Annual Research Report
フォトトロピンを介した核光定位運動の生理学的意義及び三次元ライブセルイメージング
Project/Area Number |
08J01712
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岩渕 功誠 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 青色光 / 光受容体 / 核 / 光定位運動 / 細胞骨格 / アクチン / フォトトロピン |
Research Abstract |
種子植物であるシロイヌナズナの葉の細胞核は青色光に依存した定位運動を示す(Iwabuchi et al., 2007).しかし,この運動の仕組みは未解明である.本年度は,核光定運動の仕組みについて研究を行った.細胞骨格阻害剤を用いた実験から,核光定運動はアクチン細胞骨格に依存することが明らかになった.間接蛍光抗体法によりアクチンを可視化したところ,細胞の長軸方向に沿って配向した太いアクチン繊維と核とがインタラクトしており,このアクチン繊維の構築が青色光照射前後で変わることがわかった.核光定位運動は青色光受容体フォトトロピン2により制御され,この受容体が欠損した変異体では青色光に依存したアクチン繊維の構築変化が見られないことから,核光定位運動はフォトトロピン2に依存したアクチン繊維の構築変化を介して起こると考察した(Iwabuchi et al., 2010). これまでの研究においては,核とアクチンを可視化するために細胞を固定する必要があった.しかしながら,この手法では生きた細胞の中で核やアクチンがどのような挙動を示すのか明らかにすることができない.そこで,核の運動をリアルタイムで観察するための実験系の確立を試みた.核を緑色蛍光タンパク質GFPで可視化した形質転換体(Histone2B-GFP)とアクチン繊維を赤色蛍光タンパク質tdTomatoで可視化した形質転換体(tdTomato-ABD2)を入手し,これらを掛け合わせることにより,核とアクチン繊維を同時可視化したシロイヌナズナ形質転換体を作製した.この形質転換体においても核光定位運動が正常に誘導されることを確認した.この形質転換体を用いることにより,核光定位運動におけるアクチン繊維の役割が明らかになると期待している.
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Research Products
(2 results)