2008 Fiscal Year Annual Research Report
電位依存性イオンチャネルの電位センサーの位置の研究
Project/Area Number |
08J01720
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
名倉 仁 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イオンチャネル |
Research Abstract |
これまでの実験から、T110同士の接触は細胞外で起きていることを確認していた。そこで、電気生理の手法を用いて、T110C変異体の電流減衰をもとに、電位センサーの側方への動きの原因となる因子を探索した。具体的には、電位センサーの側方への動きに膜電位依存性及びチャネル活性依存性があるかどうかを解析する為に、ホールセル記録に伴う電流減衰に関して、ホールセル記録開始後1分経過時と6分経過時の電流を測定してその間に起こる減衰の割合を定量化した。この系を用いて、電流が減衰している5分間の電位を様々に変化させた。まず、5分間の保持電位を過分極のままにしておく場合と脱分極状態に保持しておいた場合の両者を比べ、電流減衰の割合に電位依存性があるかどうかを調べたが、両者に顕著な違いは認められなかった。次に、保持電位を過分極にしながら短い脱分極を繰り返し与え、チャネルを何度も活性化させることで、電位を感知するチャネルの動きに電位センサーの側方の動きが関わるかどうかを調べたが、この実験でもコントロールとの間に違いは見られなかった。これらの事から、電位センサーの側方の動きは、これまでの電位感受とは違う機構によって制御されている可能性があると考えた。また、生化学の実験から、T110C変異体は細胞に発現させて培養している時点においてT110C変異体は多量体化しない事が確認されていた。従って、電気生理による実験とは逆に、T110C変異体が多量体化する事が出来る培養条件を探索し、それによって電位センサーの動きを制御している因子を明らかにしようと考えた。まず、培養している状態での電位センサーの動きを調べるためにスペーサーを用いた実験を行い、10オングストローム程度のスペーサーによってT110C変異体が多量体化出来ることを明らかにした。
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