2008 Fiscal Year Annual Research Report
光ポンプ広帯域テラヘルツ波プローブ分光による超伝導体のキャリアダイナミクスの研究
Project/Area Number |
08J01733
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
下里 弘 Osaka University, 大学院・基礎工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | テラヘルツ波 / 超伝導薄膜 |
Research Abstract |
本研究では、超伝導体を測定対象として広帯域テラヘルツ波による透過分光測定および光ポンプテラヘルツ波プローブ分光を行う。テラヘルツ時間領域分光によって、超伝導ギャップエネルギー付近の周波数領域の光学伝導度を導出し、電子状態を調べることができる。光ポンプテラヘルツ波プローブ分光では、クーパー対破壊・再結合のキャリアダイナミクスを観測する。 本年度はポンププローブ分光の前段階として、テラヘルツ波による透過測定を行った。これまで構築してきた、光伝導アンテナと20fs超短パルスレーザーを組み合わせた広帯域テラヘルツ波観測システムを用いて、超伝導体MgB2(二ホウ化マグネシウム)薄膜の透過分光測定を行い、サンプルの温度変化による超伝導状態への転移を観測した。得られたテラヘルツ電磁波波形をフーリエ変換したスペクトルより、複素伝導度スペクトルを評価した。期待されていた、2つ目の超伝導ギャップによるスペクトルの変化は観測されなかったが、先行研究では観測周波数帯域は3THz程度までに留まっていたが、本研究では5THzを超える観測ができた。詳細な観測のためには更なる高効率観測および測定時間の短縮が必要であることが分かった。また、サンプルとリファレンスの基板との傾きの差が無視できず、位相差を正確に測定するためには1つの基板上にサンプル部分とリファレンス部分を作ってその差を測定する必要があることが分かった。並行して、光ポンプテラヘルツ波プローブ分光でのポンプ光の導入のため、2台のレーザーの同期を行った。
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