2009 Fiscal Year Annual Research Report
生物間相互作用ネットワークからみた「捕食-被食関係」に関する研究
Project/Area Number |
08J01735
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長 泰行 Kyoto University, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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Keywords | 捕食-被食関係 / 捕食回避行動 / 揮発性物質 / 生物群集 / 誘導抵抗性 / 競争 / ナミハダニ / チリカブリダニ |
Research Abstract |
生物群集が捕食-被食関係に及ぼす影響として、本年度は被食者が周囲の生物をどのように認識し対捕食者反応を変化させるのか、について被食者(植物リママメ)による捕食者(植食者ナミハダニ、ハスモンヨトウ、コナガ)の認識能力に注目して研究を行った。植物は植食者に食べられると、特異的な匂いを放出することが、多くの系で報告されている。この匂いは植食者の存在を反映するので、周囲の未被害植物にとって、食害の危険を示すものと考えられる。そのような理由から、匂いを受容した植物が防衛レベルを増加することが報告されている。しかし、植食者といっても全ての植食者種が危険とは限らない。食害リスクの低い場合(コナガはリママメを食べない)には、食害に備える必要はないだろう。そこで、上記3種の食害を受けたキャベツの匂いを受容したリママメが花外蜜(植食者の天敵を植物上に引き留める間接防衛)の分泌がどのように異なるかを調べた。リママメはナミハダニ食害キャベツの匂いを受容した時のみ対照区より花外蜜を有意に増加させた。これは、植食者の食性幅からは説明がつかなかったが、キャベツからリママメへの移動のしやすさがナミハダニで最も高いことから一部説明出来た。これは、植物が隣の植物上の植食者を区別する能力を有することを示す非常に新規な現象で、2009年8月27日にスイスで開催された25th Annual meeting of International Society of Chemical Ecologyで口頭発表、2010年3月27日に千葉で開催された第54回日本応用動物昆虫学会で口頭発表を行い、現在は国際誌に投稿準備中である。
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Research Products
(2 results)