2009 Fiscal Year Annual Research Report
複雑化学反応系の規則性・非統計性と強レーザー場による新しい反応制御
Project/Area Number |
08J01764
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
河合 信之輔 Hokkaido University, 電子科学研究所, 特別研究員PD
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Keywords | 反応動力学 / 熱ゆらぎ / 強レーザー場 / 反応制御 / 非線形 / 自由度の削減 / 相空間 / ランジュバン方程式 |
Research Abstract |
生体系を含む多くの現実的な系においては、非常に大きな数の原子・分子が現象に関与しており、物理的洞察を得る上で大きな妨げとなる。このような多自由度の系において現象に本質的な少数の自由度をうまく取り出すことが本研究の目的であり、気相中の孤立分子に対応するハミルトン力学系だけにとどまらず、凝縮相中の反応(ランジュバン方程式)やレーザー場によって制御された反応を対象として研究を行っている。このうち凝縮相中の反応については、反応物と生成物を分かつ鞍点の近くにおいて、系のエネルギーがある程度までの高さであれば、熱的にゆらぐ環境から受けるランダムな力と自由度間の相互作用とを取り入れた座標変換により他から独立した1つの「反応座標」を抽出することができ、この座標が反応の本質を記述しているとみなせることを昨年度までの研究で見出している。よりエネルギーの高い場合には自由度間の非線形相互作用の影響がさらに大きくなり、独立な反応座標を取り出す事が出来なくなる。ところが、従来のものよりも高いエネルギー範囲に適用可能な新たな座標変換を本年度中に見出し、高エネルギー領域において独立な反応座標は存在しない状況においても、相空間中で「反応する部分」と「反応しない部分」とを分かつ面が取り出せることを見出した。また、この理論をレーザー場中の反応に適用した結果、レーザー場によってこの分割面が動かされ、系の初期分布のうち反応する部分に入るものを増やしている事、さらに時間が経つと分割面が生成物側に向かって動き、系を誘導していることが見出された。また、燃焼化学において中心的な反応の一つであるO+OH→H+O_2の中間体状態でのダイナミクスに本研究の次元縮約の手法を適用した結果、系の実効的な自由度を2に落とせる事が分かり、エネルギー移動の不完全さのために反応断面積が小さくなる仕組みを詳細に解析できた。
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Research Products
(16 results)