2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンフォテリシンB会合体の解明を目指した固体NMRによる分子間相互作用解析
Project/Area Number |
08J01790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梅川 雄一 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アンフォテリシンB / 固体NMR |
Research Abstract |
抗真菌剤であるアンフォテリシンB(AmB)は細胞膜中でステロール分子とイオン透過性チャネル複合体を形成することで薬理活性を発現すると考えられているが、その複合体構造の詳細は未だ不明である。そこでリン脂質膜中で形成されるイオン透過性チャネル複合体の構造を明らかにするため、^<13>Cおよび^<19>Fで標識されたAmBもしくはエルゴステロールを用いて分子間REDOR測定を行った。まず、標識化AmBをリン脂質と混合し、膜中でのAmB分子間のREDOR測定を行った。その結果、エルゴステロール存在下ではAmBの分子間距離が増加することを見出し、AmB-エルゴステロールの直接的な相互作用が示唆された。また、AmB-リン脂質の相互作用も薬理活性の発現に重要であることが示唆された。次の段階として、標識化AmBと標識化エルゴステロールを用いたAmB-エルゴステロールの分子間REDOR測定を行った。その結果、初めて分子間REDOR測定に成功し、AmBとエルゴステロールが直接相互作用をしていることを明らかにした。さらに、AmB-エルゴステロール間の相互作用様式には、従来から想定されていた"head-to-head"タイプの他に"head-to-tail"タイプの相互作用も存在することが示唆された。これは、本研究により初めて得られた新たな知見である。さらに、AmB-エルゴステロール-リン脂質の相互作用を分子動力学計算を用いて再現し、薬理作用を発現する際の複合体のモデル構造を提唱した。
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Research Products
(4 results)