2008 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀の科学認識論における構造概念の誕生とその展開(数理科学の認識論を中心に)
Project/Area Number |
08J01823
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 和敬 Kyoto University, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カヴァイエス / 概念の哲学 / 数理哲学 / 数学史 / 構造主義 / エピステモロジー / 20世紀の哲学史 / フランス哲学 |
Research Abstract |
本年度の研究成果は以下の通りである。 1.「構造」概念をとりわけ数学と論理学のなかに見出そうとしたシャン・カヴァイエスの哲学の分析を行った。その結果、数学という活動内における「証明」と「操作」という点に注目することになり、この点に関わる現代数学の理論的進展などの分析も行った。具体的には、高階論理、トポス、λ計算、カテゴリー論などの諸理論がそれにあたる。 2.1の研究成果を、雑誌および日本哲学会の学会誌に掲載した。また、予定通り、日仏哲学会の学会誌にも、その成果をまとめたものを投稿した。 3.1に関連して、このような発想をカヴァイエスが、19世紀から20世紀にかけての数学史のなかに見出そうとする理由を明らかにするために、この時代の数学史の研究を行った。特に、概念数学といわれるような公理と概念による厳密な証明に基づく数学という発想がどのようにして形成され、それが具体化されていったのかということの分析を行った。 4.3の成果については、金森修編集の論集『エピステモロジーの現在』の第三章として発表した。本年度の研究成果を総括するに、研究計画にある数理諸科学における「構造」概念の使用と普及の分析のための足がかりとなりうるカヴァイエスの数理哲学について、十分な研究を行うことができたと思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article]2008
Author(s)
(共著)近藤和敬 (金森修編著)
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Journal Title
『エピステモロジーの現在』、担当三章「カヴァイエスの数学史の哲学-《時間の外にある真理の歴史性》というパラドックス」、pp. 93-150(慶応大学出版会)
Pages: 93-150
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