2010 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀の科学認識論における構造概念の誕生とその展開(数理科学の認識論を中心に)
Project/Area Number |
08J01823
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
近藤 和敬 大阪大学, 文学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | カヴァイエス / エピステモロジー / 数学的経験 / 構造 / 数学史 / 生権力 / 現代哲学 / 科学認識論 |
Research Abstract |
本研究の目的は、科学認識論における構造概念の誕生とその展開を科学史、哲学史の観点から明らかにすることである。研究の内容は、以下の四点から成り立っている。(1)構造概念の誕生を19-20世紀の数学史、数理物理学史の内部から明らかにする。(2)科学認識論における構造概念の誕生を科学認識論史の内部に位置づける。(3)科学認識論における構造概念が誕生する場面を、20世紀フランスの科学認識論史の内部で明らかにする。(4)科学認識論における構造概念の展開を、分析哲学の科学哲学との比較の中で明らかにする。 本年度はとりわけ研究内容(1)について、19世紀数学史において重要な転換点をなしたカントールとデーデキントの議論のカヴァイエスによる分析を検討しながら、「数学的経験」と「問い」の構造について研究をおこなった。その成果については,論文「「数学的経験」における「問い」と「問題」~カヴァイエスの「数学的経験」概念のために」のなかで明らかにした。さらに研究内容(3)について、この議論を現代哲学における構造主義の展開と接続するために、ドゥルーズの『差異と反復』における「問題論」と比較検討し、その哲学的射程を議論した(論文「問い・身体・真理カヴァイエスとドゥルーズの問題論」)。研究内容(2)と関連する仕方で、現代の科学認識論者であるフーコーの生権力論をエピステモロジーの観点から検討し、人間科学における構造概念と生命概念の接続点を権力概念の媒介を通じて明らかにすることを試みた(共著『生権力論の現在』)。
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Research Products
(4 results)