2009 Fiscal Year Annual Research Report
溶媒抽出法および酸化還元反応による106番元素シーボーギウムの化学的性質の研究
Project/Area Number |
08J01829
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大江 一弘 Osaka University, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 超重元素化学 / シーボーギウム / 溶媒抽出 / 酸化還元反応 / マイクロ化学チップ |
Research Abstract |
106番元素シーボーギウム(Sg)の酸化還元実験に向け、マイクロ化学チップに電極を組み込んだ電極マイクロチップの開発およびテスト実験を行った。これまでの基礎実験結果を元に電極チップを再設計し、ガラス基板製のものを作製した。流路幅2mm、深さ約15μm、作用電極長5cm、作用電極および対電極はPt/Ti電極とし、参照電極はPt/Ti電極にAgをめっきしたものを擬似参照電極として用いた。この電極チップのテスト実験として、^<56>Coトレーサーを用いた基礎実験を行った。^<56>Co^<2+>のEDTA錯体を用いて、Co(III)-EDTAへの電解酸化効率を調べたところ、流速4μL/min以下でほぼ定量的にCoを酸化できているという結果が得られた。 この電極チップを用い、Sg還元実験に向けてのステップとして、102番元素ノーベリウム(No)の2価から3価への電解酸化実験を行った。実験は理化学研究所AVFサイクロトロンを用いて行った。^<248>Cm(^<12>C,5n)反応により^<255>No(半減期3.1min)を合成し、He/KClガスジェット搬送システムを用いて化学実験室まで搬送した。He/KClガスジェットをナフロンシートに吹きつけて捕集した後、0.1MHNO_3 1μLに溶解し、これをシリンジポンプを用いて電極チップに流速3.5μL/minで導入した。500および1250mV vs.Ag pseudo-reference electrodeの電位を印加し、溶出液を捕集後、0.5M HDEHP-CCl_4溶液を加えて溶媒抽出を行い、No^<2+>とNo^<3+>を分離した(No^<2+>はほぼすべて水相に残り、No^<3+>はほぼすべて有機相に抽出される)。α線測定によりNoを測定したところ、500mVではNoを酸化できていなかったが、1250mVではNoが酸化されていることを確認した。今回の実験ではNoを定量的に酸化することはできなかったが、今後追実験を行い、定量的酸化ができる条件を調べる予定としている。またSg実験に向け、同族元素モリブデンおよびタングステンの還元実験を進めていく予定である。
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