2008 Fiscal Year Annual Research Report
対称関数論を用いたランダム分割とランダム行列の研究
Project/Area Number |
08J01840
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 詔 Nagoya University, 多元数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ランダム分割 / ランダム行列 / ジャック多項式 |
Research Abstract |
過去に研究したプランシェレル測度の類似物として、プランシェレル測度の正の実数パラメータα付きの拡張であるジャック測度についての研究をおこなった。プランシェレル測度はヤング図形の集合の上に定義される確率測度であり、GUEランダム行列の固有値分布と同じ極限分布をもつという性質を有していた。一方、GUEランダム行列の固有値分布の拡張として、GβEという確率空間かよく知られている。これはβ=2のときにGUE行列の固有値分布を与え、またβ=1、4でそれぞれGOE、GSE行列の固有値分布を与えるものである。ジャック多項式の理論から自然に定義されるジャック測度はそのGβEに対応するランダムヤング図形モデルであることが期待されている。 今回の研究では、ジャック測度とGβEとの極限分布の具体的な関係を見ることを目標としていた。これは、学振特別研究員(PD)として申請をしたときの研究計画に一致する。一般的な場合の目標は達成できなかったものの、次の主張を得ることができた。すなわち、列の長さがd以下となるようなヤング図形の集合ヘジャック測度を制限したときに、その行の長さの極限分布はトレースがOであるようなd次のGβEの分布に一致する。この結果の特筆すべき内容は、ジャック測度のパラメータα>Oが任意にとれるところである。このように、一般のα>Oに関してのジャック測度の極限定理は知られていなかったので、今回の結果はランダムヤング図形とランダム行列との関連をより一層強固なものにしたと言えるだろう。
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Research Products
(6 results)