2008 Fiscal Year Annual Research Report
2次元不規則電子系の新奇現象"共形不変性"と"量子スピンホール効果"に関する研究
Project/Area Number |
08J01885
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小布施 秀明 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共形不変性 / 量子スピンホール効果 / アンダーソン転移 / 量子ホール効果 / トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
量子スピンホール効果は、系の内部の電子状態はエネルギー・バンドにギャップが開いているが、系の端にスピン・カレントを運ぶギャップレスのエッジ状態が存在する絶縁体で観測される。量子スピンホール効果についての研究はスピントロニクスへの応用のみならず,トポロジカル絶縁体という新しい物質相に関する基礎的な問題として重要である。本年度は、金属-量子スピンホール絶縁体転移における臨界波動関数の自己相似性(マルチフラクタル性)を調べた。その結果、周期境界条件を課した系の臨界波動関数は、シンプレクティック・クラスと同じバルク・マルチフラクタル性を示すことが明らかとなった。一方、エッジ状態が存在するような固定境界条件を課した系では、境界近傍の臨界波動関数はシンプレクティック・クラスの表面マルチフラクタル性とは異なる表面マルチフラクタル性を示すことが明らかになった。このことは量子スピンホール系では、トポロジカル絶縁相のエッジ状態が境界臨界現象に強く影響することを示唆している。また、本年度は整数量子ホール系めプラトー転移についても研究を行った。整数量子ホール効果において未だ明らかとなっていない理論的研究の大きな問題の一つに、プラトー転移における臨界現象を記述する理論の構築があげられる。現在有効であると考えられている多くの理論はWess-Zumino項を有する非線形シグマモデルを基盤としている。この理論によると、プラトー転移点の臨界波動関数のマルチフラクタル性を特徴付けるマルチフラクタル・スペクトルは厳密に放物線関数となることが導かれる。そこで、この系のマルチフラクタル・スペクトルを数値的に調べたところ、厳密には放物線関数とならないことを明らかにした
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Research Products
(11 results)