2009 Fiscal Year Annual Research Report
2次元不規則電子系の新奇現象"共形不変性"と"量子スピンホール効果"に関する研究
Project/Area Number |
08J01885
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小布施 秀明 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共形不変性 / 量子スピンホール効果 / アンダーソン転移 / トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
本年度は、2次元不規則電子系の金属-絶縁体転移における共形不変性に関し共同研究を行っているシカゴ大学ジェームス・フランク研究所IIya A.Gruzberg准教授の研究グループに約11ヶ月間滞在し、共形不変性に関する研究を集中的に行った。まず、対数関数による共形変換を考えることにより、2次元不規則電子系局在-非局在転移点のべき的に振舞う相関関数が、準1次元系では指数関数となることを導出した。このことより、2次元系のバルク及び境界スケーリング次元と、シリンダー及びストリップ形状の準1次元系の局在長を関係付ける普遍的な関係式を導出した。さらに、副格子対称性を有する不規則系やBogoliubov-de Gennes対称性を持つ不規則超伝導体に対して、この関係式を一般化した。ユニバーサリティ・クラスが異なる4種類の2次元不規則系の局在一非局在転移に対し、導出された関係式が正しいことを大規模数値計算により実証した。次に、不規則電子系のコンダクタンス分布におけるスケーリング次元及び共形不変性に関する研究を行った。研究の結果、2次元不規則電子系における2点コンタクト・コンダクタンス分布がバルク及び境界スケーリング次元と関係づけられることが明らかとなった。さらに、対数関数による共形変換を考えることにより、準1次元系の2端子コンダクタンス分布とスケーリング次元の関係式を導出し、数値的実証を行った。特に、ストリップ形状の準1次元系の2端子コンダクタンスは実験的セットアップとして現実的であるため、実験的に境界スケーリング次元を求める有効な手法になると期待される。また、量子スピンホール系のコンダクタンス分布に関する研究も行った。
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Research Products
(4 results)