2010 Fiscal Year Annual Research Report
2次元不規則電子系の新奇現象""共形不変性""と""量子スピンホール効果""に関する研究
Project/Area Number |
08J01885
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小布施 秀明 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 共形不変性 / 量子スピンホール効果 / 量子ウォーク / アンダーソン転移 / トポロジカル絶縁体 / 量子計算 |
Research Abstract |
本年度は、トポロジカル相における乱れの寄与を調べるために量子ウォークについての研究を行なった。量子ウォークは、量子アルゴリズムを適用できるため量子コンピューターへの応用として注目されている。実験で実現される多くの1次元量子ウォークはカイラル対称性を有するため、トポロジカル相を持ちうる。そこで、カイラル対称性を有する1次元量子ウォークに対する、空間的または時間的な乱れの寄与について調べた。乱れがないクリーンな量子ウォークでは、エネルギーω=0,π近傍にエネルギーギャップがありエッジ状態が現れるが、弱い空間的な乱れを導入した時でも、エネルギーギャップは閉じないためエッジ状態は安定に残る。一方でω=±π/2に状態密度と局在長の発散が新たに現れる。この発散は、カイラル対称性に加え量子ウォークの時間発展演算子に副格子対称性があるため、ω=±π/2での1次元chiral系のアンダーソン転移に起因することを明らかにした。また、時間的な乱れがある場合は、エッジ状態が消失し、量子ウォークは古典ランダムウォークとして振舞うことも明らかにした。 また、吸収境界による散逸のため電流が保存しない量子ホール系におけるプラトー転移点のコンダクタンス分布と共形不変性に関する研究も行なった。その結果、電流が保存しない散逸系のコンダクタンス分布は、電流が保存する系のものとは異なる臨界性を示すことが分かった。以前の研究では波動関数の絶対値の自乗がprimary operatorに関係すると考えていたが、非エルミートな系への拡張を考えるとより一般的にはポイント・コンタクト・コンダクタンスがprimary operatorに関係するということが分かった。
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Research Products
(10 results)