2009 Fiscal Year Annual Research Report
Rhoファミリー低分子量G蛋白質を制御する新たな活性調節因子の同定とその機能解析
Project/Area Number |
08J01911
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平本 菜央 (山木 菜央) Kyoto University, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | シグナル伝達 / 細胞運動 / がん / 細胞生物学 |
Research Abstract |
がん細胞の浸潤・転移は、がんの治療を困難にしている最大の要因である。このがん細胞の浸潤・転移に深く関与する細胞運動の仕組みや関連分子を解明することで、創薬研究の大きな発展に寄与することが考えられる。がん細胞の浸潤や転移には、RhoファミリーG蛋白質の関与がこれまでに数多く報告されている。我々は、近年同定されたEphexinファミリーに属する分子のうち、未だ唯一報告のなかったEphexin4がRhoファミリーG蛋白質のひとつであるRhoGの活性化因子として機能することを新たに見出した。また乳がんの悪性度と、チロシンキナーゼ受容体であるEphA2の発現レベルの上昇には相関性があることが既に報告されており、本研究で我々は、Ephexin4がEpkA2のエフェクターとして作用して、乳がん細胞における運動の制御に働くことを明らかにした。Ephexin4のみならず、EphA2を過剰発現させると細胞内においてRhoGの活性は上昇し、一方でショートヘアピンRNAによりEphexin4またはEphA2をノックダウンさせるとRhoGの活性は減少した。EphA2の下流シグナル伝達分子として、RhoGのエフェクターとして知られるELMO2とRac1の活性化因子であるDock4の複合体(ELMO2/Dock4)を明らかにし、EphA2-Ephexin4における細胞運動の制御にはDock4によるRac1の活性化が重要であることを示した。さらに、これらの分子が移動中の乳がん細胞において、突起先端部位に存在していることを見出した。以上の結果から、EphA2はEphexin4を介してRhoGを活性化し、ELMO2/Dock4によりRac1を活性化することにより細胞運動を制御していることが示唆される。
|