2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01915
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
島崎 信二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ゲージ理論 / 行列模型 |
Research Abstract |
今年度、私はlarge N reductionの様々な拡張に取り組んだ。large N reductionとは「R^d上の場の理論のlarge N極限は、それを0次元にdimensional reductionして得られる行列模型のlarge N極限から得ることができる」という主張である。我々は、S^3上のChern-Simons理論と、群多様体やその商空間上のゲージ理論に対してlarge N reductionが成り立つことを示した。前者において我々は、S^3上のChern-Simons理論のlarge N極限の分配関数、S^3の大円に巻いたWilson loopの期待値を行列模型から得ることに成功した。これはlarge N reductionをChern-Simons理論に応用した初めての例であり、また、S^3という曲がった空間上におけるlarge N reductionを示したという点でも意義深い。後者では、R^d上のlarge N reductionを異なる視点から再考することにより、それの群多様体上への拡張を与えることに成功した。この中にはS^3(=SU(2))上のlarge N reductionが含まれるが、上で述べたものよりも高い対称性(この場合S^3のアイソメトリーのSO(4)対称性)を保つものとなっている。これはlarge N reductionを用いた場の理論の行列正則化という面からも重要な発見である。さらに群多様体上のlarge N reductionにおいて、行列に適当な拘束条件を課すことによって商空間上でもlarge N reductionが成り立つことを示した。また、群多様体やその商空間上におけるChern-Simons理論"的"な理論を構成し、そのlarge N reductionも与えた。このように行列模型は今まで知られていた以上に様々な理論がその中に含まれるということを示している。
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Research Products
(5 results)