2008 Fiscal Year Annual Research Report
肥満に関わる大腸発がん促進因子の探索と食品因子による制御
Project/Area Number |
08J01923
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 真吾 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | レプチン / ノビレチン / アディポサイトカイン / Rapamycin / mTOR / 脂肪細胞 / MEK / eIF4B |
Research Abstract |
まず、培養細胞系においてノビレチンが、マウス前駆脂肪細胞3T3-L1のアディポサイトカイン分泌に及ぼす影響をELISA法で解析した。3T3-L1細胞に分化誘導を行い、その後12日間ノビレチンを0.1、1、10、100μMで添加したところ、1μM以上の濃度で濃度依存的なレプチン分泌抑制作用が認められたが、アディポネクチン、TNF-α、IL-6の分泌に対してはほとんど影響しないことが明らかとなった。一方、脂肪細胞におけるレプチンタンパク質の産生および分泌には、翻訳調節因子であるmammalian target of rapamycin(mTOR)やその下流因子であるp70 S6 kinase(S6K1)および、その基質であるS6とeukaryotic initiation factor(eIF)4Bが関与していることが明らかとなっている。mTORの阻害剤であるラパマイシンは脂肪細胞の分化およびレプチン分泌を抑制することから、次にこれらのシグナル分子に対するノビレチンの影響をWestern blot法によりラパマイシンと比較した。その結果、RAPはmTORの下流に存在するS6とeIF4Bの活性化を抑制していたが、ノビレチンはeIF4Bのリン酸化のみを抑制することが明らかとなった。近年、eIF4BはmTOR経路だけでなく、MAPK経路の構成因子の1つであるERKによってもリン酸化されることが報告された。そこで、ERKおよびその上流に位置するRaf、MEKのリン酸化状態について検討したところ、ノビレチンはRafのリン酸化状態には影響せず、MEK、ERKのリン酸化を抑制していた。以上の結果から、ノビレチンはラパマイシンとは異なり、mTOR経路には作用せず、RafもしくはMEKに直接作用することでeIF4Bを不活性化し、レプチンタンパク質の産生および分泌を抑制している可能性が示唆された。
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Research Products
(3 results)