2008 Fiscal Year Annual Research Report
小型甲殻類における目の退化に関する進化発生学的研究
Project/Area Number |
08J01976
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
梶 智就 Shizuoka University, 創造科学技術大学院, 特別研究員DC1
|
Keywords | 退化 / 発生モジュール / ヘテロクロニー |
Research Abstract |
修士課程2年次に行った目の構造の類型化に基づき、それぞれの類型ごとの発生プロセスを比較した。その結果、各類型は、それぞれ異なった発生学的バックグラウンドの中で生じていることがわかった。すなわち、pigmentが消失した類型である「pigment less form」については、ペドモルフィックな進化の結果として生じていることがわかった。さらに、tapetal cellが消失した類型である「tapetal less form」では、maxillopoda-Ostracoda fromtal eyeに共有された発生モジュールの階層構造を反映した形で生じたものであることが示された。この階層構造は、tapetal cellを作り出す発生モジュールが単体で存在し、単体として容易に消失しえることを示す。また、pigment cellは、視細胞の発生モジュールに包含されていることが考えられ、このことがpigment cellの消失が起こりづらいことの原因であると考えられる。この結果は、現在、国際学術誌である「Evolution and Development」に投稿中である。また、貝形虫PODOCOPAの第二触角の構造を、主要な上科間で比較した結果を論文にまとめ、国際学術誌である「Hydrobiologia」に投稿中である。この結果によれば、CytheroideaとCypridoideaはT-Setaを共有し、CytheroideaとBairdioideaはaesthetasc ycを共有することから、それぞれの触覚における肢節相同を推定することができる。この推定は、これまで直感的な記述の域を出ることのなかった第二触角の構造記載を訂正するために必要な情報である。
|
Research Products
(7 results)