2009 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療への応用を目指したアデノウイルスベクターによるES細胞の分化制御
Project/Area Number |
08J01994
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Research Institution | National Institute of Biomedical Innovation |
Principal Investigator |
田代 克久 National Institute of Biomedical Innovation, 基盤的研究部遺伝子導入制御プロジェクト, 特別研究員(PD)
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Keywords | ES細胞 / iPS細胞 / アデノウイルスベクター / 遺伝子導入 / 分化誘導 |
Research Abstract |
体細胞から樹立された人工多能性幹(iPS)細胞は、胚性幹(ES)細胞と同様に、多分化能と自己複製能を有しているため、再生医療への応用が期待されている。ES、iPS細胞を用いた医療応用の実現には、幹細胞から目的の細胞への選択的な分化誘導法の確立が必須である。昨年度、研究代表者はアデノウイルス(Ad)ベクターを用いてマウスES細胞へPPARγ遺伝子またはRunx2遺伝子といった機能遺伝子を導入することにより、マウスES細胞を極めて効率良く脂肪細胞または骨芽細胞へ分化誘導することに成功した。そこで本研究では、本手法がマウスiPS細胞においても応用可能かどうか検討し、さらにHoxB4遺伝子の導入による血液細胞への分化誘導を試みた。またAdベクターを用いたヒトES、iPS細胞への遺伝子導入法の最適化を行った、その結果、Adベクターを用いてマウスiPS細胞へPPARγ遺伝子、Runx2遺伝子を導入することにより、マウスES細胞と同様に、効率的に脂肪細胞・骨芽細胞へ誘導することに成功した。さらに、HoxB4遺伝子をマウスES、iPS細胞へ導入することにより、液性因子のみを使用する従来の誘導法と比較し、造血幹細胞を含む未分化血液細胞を効率的に誘導することに成功した。以上の結果から、Adベクターを用いた遺伝子導入系は、幹細胞から目的細胞への高効率分化誘導に極めて有用なツールであることが示された。さらに、研究代表者はAdベクターを用いることによりヒトES、iPS細胞へも効率良く遺伝子導入可能なことを明らかにした。したがって、本遺伝子導入法は、ヒトES、iPS細胞を用いた再生医療研究の基盤技術になると考えられる。
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Research Products
(5 results)