2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J01998
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥 雅弥 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ストレス応答 / ゴルジ体 / 転写因子 |
Research Abstract |
当研究はゴルジ体に着目し、その機能が不足した際に細胞の恒常性を維持するための「ゴルジ体ストレス応答」の発見と解析を目的としている。前年度までに薬剤モネンシンで細胞を処理するとゴルジ体関連因子が発現誘導されること、それらを制御する配列GASEおよびGASEに結合する転写因子MLXを同定していた。まず、GASEに対するMLXの影響を調べたところ、MLXを過剰発現させるとGASEを介した転写が抑制されることがわかった。Myctagを結合したMLXを細胞に発現させモネンシン処理時の細胞内局在を観察したところ非ストレス時には細胞質に主に存在していたがストレス処理をすると核に移行する細胞が多く観察された。このことからMLXはモネンシン応答性を有しておりゴルジ体ストレス応答に関与していることが強く示唆された。しかしMLXは転写を促進することができないため、我々は転写活性化因子を同定することにした。転写活性化因子もMLXと同じ配列GASEを認識すると考えられるので構造にも類似点があると推察し、MLXと同じbasic HLH leucine zipper型の転写因子群をクローニングし、その中からTFE3を見いだした。さらにTFE3はストレスによってタンパク質の分子量の変化を起こすことがわかった。TFE3はモネンシン無処理のときには予想分子量よりも小さな分子量で検出されたが、これはストレスによって迅速に消失し、予想分子量のバンドが増加していくことがわかった。この分子量の変化がTFE3の活性化に関与していると考えられる。現在予想している活性化機構として、TFE3は非ストレス時にはプロセシングを受けて転写に必要な部位(DNA結合領域や転写活性化ドメイン)を切断されて不活性化されていると想像している。ストレス時にこの不活性化が解除されて活性型の全長TFE3が現れると考えている。
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Research Products
(3 results)