2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02000
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
中村 綾乃 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 特別研究員PD
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Keywords | ナチズム / 在外ドイツ人 / 非ヨーロッパ地域 / 在外ドイツ学校 / 引揚げ / 非ナチ化 |
Research Abstract |
当該研究は、東アジア、オセアニア、中東、南西アフリカ、南米のドイツ人社会におけるナチズムの成立とその浸透を、人々の主体的な経験や社会的実践から比較分析するものである。従来の研究では、別個の研究領域として論じられてきた政治外交史と社会史、地域研究との接合を試みることで、立体的、かつ複眼的なナチズム像の構築を試みることを目的としている。近年のヨーロッパ史研究では、国民国家の歴史やヨーロッパ史優位の歴史叙述から、非ヨーロッパ世界の「他者」およびその表象を視角とした研究成果が出されている。たとえば、トランスナショナルな歴史の視点が導入され、人の移動を通して、宗主国と植民地の相互関係や宗主国間の関係が検討されている。このような研究成果を踏まえ、当該研究ではドイツ系移民や在外ドイツ人の存在、第一次世界大戦後と第二次世界大戦後の二度の引揚げについて、トランスナショナル視点を取り入れながら、分析している。また在外ドイツ人や植民地の存在が本国のドイツ社会にどのような変容をもたらしたのかという「反作用」について、国籍法や婚姻法、在外ドイツ学校の制度拡充、在外ドイツ人の引揚問題から検討を加えている。国立国会図書館憲政資料室(東京)、米国国立文書館(ワシントンD.C.)所蔵の「ドイツ押収文書」から、在外ドイツ人の戦犯護送、身元調査、資産管理と本国送還に関する指令文書を抜粋し、在外ドイツ人の「非ナチ化」政策の評価を検討する。また関係者への聞き取り調査を行い、証言や回想を収集し,職業や世代や社会的階層、地域による記憶のあり方の違いを比較分析している。これらの研究成果はすみやかな公開につとめており、当該年度の研究成果として、単著『東京のハーケンクロイツ』(白水社、2010年)、論文「カイザー・ヴィルヘルム・シューレの軌跡」(『人間文化論叢』第13巻(お茶の女子大学、2010年)他、国際シンポジウム「東アジアの亡命」における報告「Ortsgruppen der NSDAP und die deutsche Kolonie in Japan」が挙げられる。
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Research Products
(3 results)