2010 Fiscal Year Annual Research Report
Generic構造における超準的手法と、その安定性理論への応用の研究
Project/Area Number |
08J02012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
安保 勇希 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 数理論理学 / 数学基礎論 / モデル理論 / 安定性理論 / 単純性理論 |
Research Abstract |
理論Tの存在閉モデルはTのモデルの中で特に解が豊富なモデルである。例えば、体の理論の存在閉モデルは代数的閉体であり、グラフの理論の存在閉モデルはランダムグラフである。しかし存在閉モデル全体は一般には初等的クラスになるとは限らない。初等的クラスになることが示されれば、モデル理論の多くの議論の枠組みに乗り、研究の発展がきたいできる。本研究では、ランダムグラフの理論と「全単射を持つ」という意味の理論の和を取った理論の存在閉モデル全体が初等的クラスになることを示した。関連研究として、(1)代数的閉体の理論と「自己同型を持つ」という意味の理論の和を取った理論の存在閉モデル全体は初等的クラスになる。(Chatzidakis,Hrushovskiなど)(2)ランダムグラフの理論と「自己同型を持つ」という意味の理論の和を取った理論の存在閉モデル全体は初等的クラスにならない。(Kikyo)がある。(1)によって得られる理論はACFAと呼ばれ、HrushovskiによるManin-Mumford予想の解決にも使われた重要な理論である。また、本研究では得られた理論(存在閉モデル全体を公理化するもの)が完全で、単純だが超単純ではないということを示した。 任意の単純な理論において強タイプとLascar強タイプが等しいかどうかは未だ解決されていない大きな問題であるが、lowな理論の場合はそれらは等しいということがBuechlerによって示されている。従って、単純な理論とlowな理論の違いを知ることは重要であるが、本研究はその問題と以下のような関係性があると考えられる。 以下の無限ソート構造を考える:n番目のソートは、本研究で全単射の変数がn変数の時に得られる理論のモデルである。この構造の理論は単純だがlowでないと予想される。(本研究によって超単純ではないことは既にわかっている。)
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Research Products
(2 results)