2010 Fiscal Year Annual Research Report
ガラス上における高移動度シリコンゲルマニウムの創製と薄膜デバイスの超高速化
Project/Area Number |
08J02015
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
都甲 薫 九州大学, 大学院・システム情報科学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シリコンゲルマニウム / 薄膜トランジスタ / 方位制御 / ヘテロエピタキシャル成長 / 溶融成長 |
Research Abstract |
ユビキタス情報化社会の実現には、軽量かつコンパクトなマン・マシンインターフェイスが必須である。現在の情報端末(PC等)は、画像を表示する「ディスプレイ部」と演算を行う「システム部」とに分かれている。ディスプレイ部には透明基板(石英、ガラス等)を用いるため、画素駆動用の低速TFT(薄膜トランジスタ)が搭載されている。一方、システム部は高速動作を必要とするため、集積回路用の単結晶Si基板が用いられる。もし、透明基板上において高速TFTを実現すれば、システム部をディスプレイ部に組み込んだ、コンパクトな情報端末の創出が可能となる。 高速TFTの実現には、透明基板上に高移動度を有する半導体結晶薄膜を形成する必要がある。そこで近年、従来の半導体材料であるSiよりも高い移動度を有するGeが注目を集めており、透明基板上にGe薄膜を高品質形成する研究が国内外で活発化している。 昨年度において、採択者はGe薄膜の一方向溶融成長を可能とする新手法「SiGeミキシング誘起Ge溶融成長法」の開発に成功し、石英基板上において、長さ400μm、幅3μmに及ぶ巨大な単結晶Ge細線を実現した。しかしながら、本手法は成長の種結晶に方位のランダムな多結晶Si膜を用いているため、成長Ge層の方位もランダムになるという問題があった。 採択者は、成長Ge層の方位制御には、サイズや品質を問わないので、一つの結晶方位に配向したSi結晶が必須であると着想した。そこで本年度においては、Ge溶融成長の種結晶として、Al金属誘起層交換成長法によって形成したSi(100)多結晶膜を採用した。すなわち、SiGeミキシング溶融成長法とAl金属誘起層交換成長法を重畳した本プロセスによって、単結晶Ge層の方位制御を検討した。その結果、(100)に配向した巨大単結晶Ge(長さ:400μm,幅:5μm)の形成を実現した。得られた結晶は無欠陥であり、従来のGe薄膜形成手法を凌駕する極めて高い移動度(1100cm^2/Vs)を実現した。 更に、デバイスレイアウトの自由度向上に向け、単結晶Geネットワークの創製に挑戦した。成長条件を探索し、最適化することで、分岐・衝突を含む網目状Geパターンにおいても大面積(500x250μm^2)単結晶Ge層の形成を実現した。横方向エピタキシャル成長の常識を覆す結果である。結晶成長超高速GeチャネルTFTの実用化を加速し、次世代のユビキタス情報化社会の実現に貢献する成果である。
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Research Products
(8 results)