2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ・マイクロ操作技術を用いたDNA修復蛋白質の一分子解析
Project/Area Number |
08J02017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新田 英之 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | magnetic tweezers / high-throughput / single molecule / nanochannel / DNA |
Research Abstract |
今年度は前年度より引き続き、Rad51蛋白質がDNAをねじる際のトルクの計測のため、我々が用いているFree Rotation Magnetic Tweezersの使用に際し問題であった残留磁界を最小限に抑えるため、磁気ピンセットの永久磁石のアライメントなどによる残留磁界の抑制と、顕微鏡の視野を広げるなど、より高精度でかつ効率よく実験が進められるよう主にセットアップの改善につとめた。結果、これまでDNAのねじり運動による磁気ビーズの回転1つを確認する時間を、数時間から数十分に短縮することができた。 一方で、Rad51のDNAへの重合過程は次第に明らかになってきているが、その次のステップであるHomology searchなど、相同組み換えの核心といえる過程を解析するためには、ねじり方向の計測だけではなく、DNA上での蛋白質フィラメントの挙動の計測と解析も同時に進める必要がある。また一度に多数のデータを取得するため、ハイスループット化も重要な課題であった。そのため、マイクロチャネルとナノチャネルを組み合わせたハイスループットDNA配列チップの開発も進めた。マイクロチャネル内のDNA分子は空洞の親水性ナノチャネル(幅100nm、高さ100nm)内へ1本ずつ、毛管力(キャピラリーフォース)により無動力で進入する。DNAの伸長の度合いは最適なナノチャネルの幅と高さを設計することにより制御できる。これらの現象を用い、ナノチャネルを用いてDNAを一分子ごとに引き延ばし、任意の位置で任意の向きに配向する技術の開発を行い、ナノチャネル内にDNAを一分子ごと挿入することに成功した。ナノチャネルの長さの最適化により試料の拡散現象を利用してDNA周辺の生化学的条件を調節し、種々の生化学実験を行うことができる。またナノチャネルの出口付近の形状を最適化することにより、DNAを任意の位置に配向することも期待できる。このデバイスを用いたDNA上におけるRad51やRecAなどの蛋白質フィラメントの挙動の直接計測により、相同組み換え機構において重合の次の過程であるHomology searchやStrand exchangeなどの重要なステップの解析が期待される。
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Research Products
(2 results)