2008 Fiscal Year Annual Research Report
網膜視細胞発生における転写因子Otx2とCrxの機能解析
Project/Area Number |
08J02055
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村西 由紀 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 網膜 / 転写因子 / 細胞運命決定 / 視細胞 / 発生・分化 |
Research Abstract |
網膜視細胞の発生に重要な転写因子をコードするOtx2(orthodenticle homolog)およびCrx(cone rod homeobox)遺伝子は、同じ視細胞前駆細胞に発現し、同じホメオドメインファミリーに属し、同じDNA結合配列をもっているにも関わらず、発現時期が約一日違うだけで別の機能をもっている。そこで、両遺伝子のプロモーター下にもう一方の遺伝子をつなげたコンストラクトをそれぞれ作製し、ノックアウトによって遺伝子が欠損しているマウスにトランスジェニックの手法を用いて導入する。これは、両蛋白質の機能は発現時期が異なっても同じ機能を持つのか、あるいは異なっているのかを動物生体内にて検討し、網膜視細胞の発生に関わる両遺伝子の機能メカニズムを明らかにしていく。この実験から、Otx2とCrxの機能の違いが両転写因子の発現するタイミングによるものか、あるいは蛋白質の違いによるものなのかを解明する。 申請者は、本研究に必要なトランスジェニックマウスを作製した。Otx2のコンディショナルノックアウトマウスにOtx2プロモーター下でCrxを発現する場合、部分的な視細胞のレスキューを形態的および視細胞の成熟マーカーにて確認した。視細胞の成熟マーカーを用いた免疫染色では、桿体細胞のマーカーであるRhodopsinと錐体細胞のマーカーであるPNAの発現が部分的に認められた。また、CrxのノックアウトマウスにCrxプロモーター下でOtx2を発現する実験は、現在進行中である。本実験より、両転写因子の発現時期がOtx2とCrxのそれぞれの機能に重要であると考えられた。今後は、Crxの遺伝子がOtx2の発現よりも早く視細胞層に発現する事によって、網膜視細胞の形成および成熟する能力がある事を示していく予定である。
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Research Products
(1 results)