2009 Fiscal Year Annual Research Report
平和構築の歴史・思想的源流-国際連盟における委任統治システムの研究
Project/Area Number |
08J02066
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
五十嵐 元道 Hokkaido University, 大学院・法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 平和構築 / イギリス帝国 / 批判的安全保障学 / グローバル・ガバナンス |
Research Abstract |
本年度も昨年度に引き続き、実りの多い年となった。具体的な研究成果として次の3つが挙けられる。 第一に、英国での資料調査を実施し、研究上、きわめて重要な一次資料を収集することができた。とりわけ、The Edinburgh ReviewやThe Nineteenth Centuryなどの19世紀および20世紀初頭の雑誌の分析から興味深いデータを集めることができた。また英国の有力な研究者たちと交流するなかで、国際関係論をはじめ、平和構築および帝国史に関して、最新の研究潮流を学ぶことができた。この渡英による資料収集および情報収集は当初の研究実施計画通りである。 第二に、平和構築と植民地統治を比較分析するための枠組みを精緻化することができた。昨年、比較分析のためのアプローチを提示することはできたが、具体的な分析枠組みを構築するところまでは至っていなかった。本年度は英国の最新の研究潮流である「批判的安全保障学」の成果を大いに吸収した結果、その枠組みを構築することができた。その詳細については、博士論文の序章というかたちで、すでに論文の草稿に記されている。また、この枠組みにより、19世紀の自由主義者による植民地統治の思想の分析を行っている。 第三に、本年度は重要なふたつの出版における成果があった。まず英語論文を学術雑誌『新世代法政策学研究』に発表することができた。これは海外発信への重要なステップである。さらに『グローバル・ガバナンスの歴史と思想』(遠藤乾編)を共著のかたちで出版することができた。これによって、日本の国内社会へ自己の研究成果の発信をすることができた。
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Research Products
(2 results)