2010 Fiscal Year Annual Research Report
LSIの高性能化を目的としてシリコン基板に導入された結晶歪の精密測定に関する研究
Project/Area Number |
08J02068
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
小瀬村 大亮 明治大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | Si応力 / 多軸応力成分解 / 液浸ラマン分光法 / TOモード / SSOI |
Research Abstract |
平成22年度の研究背景と目的 これまでの成果として、実際のトランジスタに使われているSiN応力薄膜により導入されたSi応力を、UVラマン分光法により評価した。その結果、Si応力とSiN膜の膜厚、膜内部応力、およびサイズ効果などの関係が明らかになった。これらの結果とトランジスタの電気特性との間に相関が得られ効果的なSi応力導入技術を種々提案することができた。しかしながら、これまではトランジスタのチャネル方向(Si[110]方向)に限定された応力しか評価していない。そこで本研究では、液浸ラマン分光法により本来ラマン不活性な横光学フォノンモード(TOモード)を新たに励起することにより多軸応力成分解析を行った。 平成22年度の主な研究成果 strained Si on insulator (SSOI)を液浸ラマン分光法により評価した結果、等方性2軸応力によりラマン波数シフトが低波数側にシフトし、さらにLOモードとTOモードの分裂する様子が観測された。これより、液浸ラマン分光法により本来ラマン不活性なTOモードを励起できることが明らかとなった。液浸レンズを用いた場合、対物レンズから出射される光のうち、斜入射成分が増大する(NA=n sinθ, NA:開口数n:屈折率,θ:開口角)。斜入射成分の電界方向のうち試料表面垂直方向の偏光成分(z偏光)によりTOモードが励起可能である。液浸ラマン分光法により励起された複数の光学フォノンモードのピーク位置を抽出して、複数の応力成分に対する連立方程式を解くことにより多軸Si応力解析が可能となる。本手法により、トランジスタの電気特性と応力との関係を詳細に比較検討することができるので歪Si技術の成熟に貢献できると考えられる。
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Research Products
(10 results)