2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキシル基直接導入反応による官能基密集型多環式天然物の全合成
Project/Area Number |
08J02087
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
粕谷 智史 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 全合成 / 酸化反応 |
Research Abstract |
高度に酸化された天然物の合成において、直接的に酸化度を高める方法は未だ確立されていない。そこで、短段階で酸化度を高め、全合成を簡略化する新しい酸化反応の開発を目指し、隣接置換基を利用するヒドロキシル基直接導入反応を計画した。具体的には、ジオキシラン発生部位であるケトンを持つ置換基を設計し、これをリンカーを介して、エーテル結合で種々の基質と連結した。構造や長さの異なるリンカーを使い分けることで特定のC-H結合のみ活性化し、選択的かつ直接的な酸化反応を実現することを目的とする。 第二級アルコールにトリフルオロメチルケトンを持つ置換基を導入し、H_2O_2を作用させると、酸素置換基により活性化されたC-H結合が速やかに酸化され、ケトンが得られた。次に、第三級アルコールに置換基を導入し、Oxoneを作用させると、置換基近傍に存在する複数の不活性なC-H結合のうち第三級C-H結合のみが選択的に酸化され、酸化物が得られた。さらに、同様の置換基を連結したフェノール類縁体にOxoneを作用させると、オルト位が酸化され、環化したヘミアセタールが得られた。 以上のように、新たに開発した隣接置換基を用いて、1.エーテルの酸化2.不活性な第三級C-H結合の酸化3.フェノール類縁体のオルト位選択的な酸化反応を開発した。特に、不活性な第三級C-H結合の酸化では、既存の方法では困難であった1,3-ジアキシアルの関係にあるヒドロキシル基の直接的な導入に成功しており、これは特筆すべき結果である。
|
Research Products
(1 results)