2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08J02093
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小沼 順二 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 特殊化 / トレードオフ / 適応放散 / 量的遺伝 / 形態分化 / マイマイカブリ |
Research Abstract |
本年度、研究計画に従いある程度、順調に研究を進めることができた。頭部と胸部形態に著しい差異が見られるマイマイカブリ2亜種集団を用い、F1雑種およびバッククロス集団の構築に成功した。これらの系統ラインを用い、QTLマッピングによる形態形質関連遺伝子の遺伝子座上の位置が特定可能となる。これらの遺伝的基盤の特定は形質問の連鎖や遺伝要因の推定を可能とし、貝食性オサムシの形態分化機構の決定要因を特定する重要な鍵となるだろう。また、マイマイカブリの外部形態の外的決定要因を解明するために、日本列島内の62地域から集められた1704個体の標本サンプルを用いてそれらの形態解析も行った。さらに、それらの地域における年平均気温と主要な餌となるカタツムリの体サイズを調べ、マイマイカブリ形態と環境要因との相関を調べた。その結果、より細長いマイマイカブリが生息している地域ほどより大型のカタツムリが多く分布するという傾向があることが分かった。この結果は、より細長いマイマイカブリほど頭を巻貝の殻に突っ込んで採餌する捕食行動に特化した結果であると考えることができ、異なる資源への特殊化が形態を著しく進化させるというLevinsの仮説を強く支持するものといえる。また、集団間の遺伝距離と地理適距離の間には相関があることも分かり、距離による隔離の効果により遺伝的分化も促進していることが判明した。これらの結果はオサムシの形態的多様性と遺伝的多様性が陸貝への特殊化によって促進されることを示しているといえる。
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Research Products
(2 results)