2008 Fiscal Year Annual Research Report
単層カーボンナノチューブ電極による電気二重層キャパシタの容量発現メカニズムの解明
Project/Area Number |
08J02104
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
荻野 真一 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | カーボンナノチューブ / 電気二重層 / キャパシター |
Research Abstract |
単層カーボンナノチューブ(SWCNTs)はグラフェンシートをナノサイズの円筒状に丸めた構造を持ち,バリスティック伝導性(電子の平均自由行程が大きい伝導特性)や高い比表面積を有することから,高出力用途における電気二重層キャパシタ(EDLC)の電極材料として非常に有望である.本研究の目的は,完全な結晶構造を持つSWCNTsのキャパシタ特性を明らかにすること,およびSWCNTs-電解液界面における電気二重層の形成メカニズムを解明することである.高結晶性SWCNTsの電気化学特性をより優位的に利用するために,電解液には希硫酸を用いる.また,電気化学測定(サイクリックボルタンメトリー)を行いながらSWCNTs-電解液界面近傍からの分光学的(ラマン散乱分光)測定を同時に行う.このその場測定は,電気化学的な情報に加えて,電気二重層形成に伴うSWCNTsの構造変化に関する情報を与え,電極反応の統一的見解を示すことが可能となる. 高結晶性SWCNTsをEDLCの電極材料に適用すると,理想的な電気二重層キャパシタ特性を示し,さらに高レート特性も優れていることから,高結晶性SWCNTsは高出力用途向けEDLCにおいて非常に有効である.さらに,高結晶性SWCNTsを出発材料として用いることで,イオンの吸着メカニズムについて,これまでの手法では得ることのできなかった新たな知見を得ることができた.特に,In-situラマンスペクトルの測定においてSWCNTsの結晶性や官能基が,電極電位掃引下におけるGバンドのシフト挙動に影響を与えることを明らかにしたのは本研究が最初である.また,ACインピーダンス測定の結果から,電極反応プロセスについて解析したことも今までにない新たな試みである.今後,処理方法の検討や様々な溶媒や電解質を組み合わせてIn-situ測定が行われることが期待される.
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Research Products
(3 results)