2010 Fiscal Year Annual Research Report
パルス中性子トモグラフィの開発によるマテリアル研究の新展開
Project/Area Number |
08J02121
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 博隆 北海道大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | パルス中性子イメージング / ブラッグエッジ / リートベルト解析 / ひずみ / 集合組織 / 結晶子サイズ / 中性子回折 / 鉄鋼 |
Research Abstract |
本研究は、加速器パルス中性子源の特性を利用した新しい中性子透過イメージング技術を開発し、特に材料科学分野への応用・貢献を目指すものである。パルス中性子イメージングは、中性子イメージング(ラジオグラフィ・トモグラフィ)を発展させたものであり、物体内部の「物質情報」を非破壊的に可視化できる計測技術である。前年度までの研究により、元素(同位体・核種)、温度、結晶格子ひずみ、集合組織、結晶子サイズを定量的に画像化する手法を確立することに成功した。特に、結晶組織構造情報を定量化するためのリートベルト型スペクトル解析コード「RITS」の継続的な研究開発が、これほど多くの物質情報を引き出すことを成功させた要因であると言える。 本年度は、大強度陽子加速器「J-PARC」物質・生命科学実験施設「MLF」に建設されたパルス中性子回折装置「iMATERIA」を利用して実験を行い、パルス中性子イメージング法と従来法であるパルス中性子回折法それぞれのリートベルト解析結果の比較を行った。透過法の実験データに対しては「RITS」、回折法の実験データに対してはJ-PARCセンターで開発されたリートベルト解析ソフトウェア「Z-Rietveld」を適用した。それぞれで得られた集合組織ならびに結晶子サイズの解析結果を比較したところ、両者はほぼ一致するという結果を得た。これにより、パルス中性子イメージングならびにRITSコードが与える結果の信頼性が確認された。 また、これまでの研究成果を国内外の様々な学会で報告した。本手法は、電子顕微鏡・X線回折・放射光イメージング・中性子回折では同時達成が困難な「広面積」「高空間分解能」「バルク」「非破壊」測定を同時に達成できるユニークな材料解析ツールであり、多くの研究者から期待を寄せられた。その結果、鉄鋼協会で2回の招待講演を行い、材料学会で講演賞を受賞することとなった。
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Research Products
(14 results)