2009 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア幹細胞を制御する細胞外環境を形成する細胞(niche細胞)の同定と解析
Project/Area Number |
08J02127
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺元 万智子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 幹細胞 / niche細胞 / 幹細胞制御機構 / プラナリア |
Research Abstract |
プラナリア幹細胞を制御する細胞外環境は、遺伝子レベルでの報告はこれまでになく、詳細が不明である。本研究では、プラナリア幹細胞を制御する機構を解明するため、幹細胞が分布する間充織に存在する分化細胞(間充織細胞)で、幹細胞に隣接して分布するものに着目して研究を進めている。プラナリア幹細胞には、少なくとも二種類の幹細胞(休止期/増殖期)が存在し、これらの幹細胞がそれぞれ異なる領域に分布することが当研究室により示されている。 これまでに、休止期幹細胞パターンの三種類の間充織細胞マーカー遺伝子と、増殖期幹細胞パターンの三種類の間充織マーカー遺伝子を発見している。まずは休止期幹細胞パターンの三種類の間充織細胞マーカー遺伝子(それぞれ、OR1(新規)、OR2(新規)、OR3(HrTT-1(SCP/TPXファミリー),8e-32)と命名)に着目している。 昨年度、OR1、OR3についてRNA干渉法を用いて機能阻害を行うと、休止期/増殖期幹細胞遺伝子の発現量や、分化細胞マーカー遺伝子(筋肉/神経)の発現量が変動していた事から、OR1/OR3については、幹細胞の分裂・数や、幹細胞からの分化に関与する可能性ある事を報告した。 今年度は、抗体の作成、より詳細な機能解析を試みたが、残念ながら進展した結果が得られなかったまた、遺伝子全長の取得も試みた結果、全長を取得するまでには至らなかったが、OR1の配列を解析した結果、166bp~20bp長さで、繰り返し配列が多数見られることが判明した。相同性検索の結果、OR1と相同性のある遺伝子は見つかっていない。 現在のところ、OR1遺伝子の詳細な機能はわかっておらず、繰り返し配列を多数持つ生物学的意義は不明であるが、プラナリアの持つ幹細胞システム独自の遺伝子である可能性があり、幹細胞システムの解明につながると期待される。
|