2008 Fiscal Year Annual Research Report
プラナリア幹細胞を制御する細胞外環境を形成する細胞(niche細胞)の同定と解析
Project/Area Number |
08J02127
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
寺元 万智子 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 幹細胞 / niche細胞 / 幹細胞制御機構 / プラナリア |
Research Abstract |
プラナリア幹細胞を制御する細胞外環境は、遺伝子レベルでの報告はこれまでになく、詳細が不明である。本研究では、プラナリア幹細胞を制御する機構を解明するため、幹細胞が分布する間充織に存在する分化細胞(間充織細胞)で、幹細胞に隣接して分布するものに着目して研究を進めている。プラナリア幹細胞には、少なくとも二種類の幹細胞(休止期/増殖期)が存在すること、これらの幹細胞がそれぞれ異なる領域に分布することが、当研究室により示されている。これまでに、休止期幹細胞パターンの三種類の間充織細胞マーカー遺伝子と、増殖期幹細胞パターンの三種類の間充織マーカー遺伝子を発見している。今年度は、休止期幹細胞パターンの三種類の間充織細胞マーカー遺伝子(それぞれ、OR1(新規)、OR2(新規)、OR3(SCP/TPXファミリー遺伝子であるHrTT-1,8e-32)と命名)に着目し、その遺伝子の機能解析を試みた。 今年度は、特異的抗体の作製を試みたが、まだ特異的反応を示す抗体は得られていない。5'RACE法を用いて、遺伝子配列の全長の取得も試みたが、まだ完全長配列は得られていない。 また、RNA干渉法を用いた遺伝子機能阻害実験による機能解析を行った。間充織細胞で発現する遺伝子をターゲットにしてRNA干渉法を用いて機能阻害した個体について、幹細胞の挙動に異変がないかを調べるため、幹細胞マーカー遺伝子の発現量の変動について、定量的PCRを用いて調べた。また、幹細胞からの分化についても調べるために、分化細胞遺伝子の変動についても調べた。その結果、OR1、OR3について機能阻害を行うと、休止期及び増殖期幹細胞遺伝子の発現量が変動していた。さらに、OR1およびOR3を機能阻害した個体において、分化細胞(筋肉細胞および神経細胞)のマーカー遺伝子についても、発現量が変動するという結果が得られた。これらのことから、OR1、OR3については、幹細胞の分裂・数や、幹細胞からの分化に関与する可能性が考えられた。
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