2010 Fiscal Year Annual Research Report
左右非対称性の共進化:捕食者―被食者間相互作用による種分化機構の解明
Project/Area Number |
08J02138
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
細 将貴 東北大学, 大学院・生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 行動生態学 / 爬虫類 / カタツムリ / 琉球列島 / 生物地理 / 進化生物学 |
Research Abstract |
本年度は、1.野外における自切痕頻度実測値をもとにしたイワサキセダカヘビによるイッシキマイマイへの捕食圧推定、2.イワサキセダカヘビおよび台湾産セダカヘビ複数種を対象とした頭部CTデータのサンプリング、3.研究成果発表の3点を主な目標とし、それぞれ達成することができた。捕食圧推定については昨年から継続してきた野外調査によるデータサンプリングを完了し、統計数理研究所との共同研究によって具体的なモデルの構築を目前としている。またこの野外調査のサイドワークとしておこなった腹足切断個体の標識再捕獲によって十分量の組織標本が得られたことも意義深い。今後、JAMSTECとの共同研究によって安定同位体比を測定し、自切によって食性が変化するという室内実験の結果を裏付けを得る予定である。CTデータに関しては、台湾師範大学の共同研究者から分類の再検討が必要であるという新知見の提供を受け、更なる詳細な解析を要している状況である。成果発表としては、国外での学会発表によって研究の宣伝をおこなうとともに、Nature Communications誌に論文を掲載することによって不朽の業績を残すことに成功した。この論文では、カタツムリの体制の左右反転を司る遺伝子が、強力な生殖隔離機構を生み出すだけではなく、ヘビに対する被食防御適応にも寄与することを示した。これは、理論上不可能と考えられてきた左巻きカタツムリの起源を完全に説明する成果であるというだけでなく、ひとつの遺伝子が生殖隔離と被食適応の両方に甚大な効果を持つという、これまでの進化遺伝学上の常識をくつがえす知見である。この成果は、国内外のメディアで大きく報道された。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] A speciation gene for left-right reversal in snails results in anti-predator adaptation2010
Author(s)
Hoso, M., Kameda, Y., Wu, SP., Asami, T., Kato, M., Hori, M.
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Journal Title
Nature Communications
Volume: 1:133
Pages: 1-7
Peer Reviewed
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