2009 Fiscal Year Annual Research Report
土壌水分計付貫入計を用いた表層崩壊危険度評価手法の確立
Project/Area Number |
08J02151
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山川 陽祐 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 土壌水分計付貫入計(CPMP) / 表層崩壊 / 水文特性 / 間隙水圧 |
Research Abstract |
本年度は,潜在崩壊斜面における詳細な水文観測(交付申請書記載の課題(2))を実施した。潜在崩壊斜面の選定は岐阜県高山市,京都大学防災研究所穂高砂防観測所ヒル谷試験流域内にて土壌水分計付貫入計(CPMP)を用いて行った。選定斜面は傾斜約40度の谷壁斜面で,斜面下部においては土層に連続的な地下水帯が検出された一方で,斜面上部には局所的な飽和帯が検出された。また,斜面上部の飽和帯の一部は土層中位層の硬質土層に下層への浸透を遮られる形で宙水状に存在し,表層と基岩直上は不飽和であるという非常に不均質な水分空間分布を示した。この結果は,CPMPが地表面からは把握できない不均質な土層構造と地盤内雨水挙動を捉える上で非常に有用な計測手法であることを示すものである。選定斜面においてCPMPによる貫入試験を行った57地点においてそれぞれ1~3深度のテンシオメータを設置し,間隙水圧を継続的に観測した。斜面上部においてCPMPを用いた計測により常時は不飽和であるとされた地点では,降雨に対して鋭敏に圧力水頭が上昇し,降雨終了と共に速やかに下降することが計測された。これに対して,斜面上部の基岩面上に飽和帯が検出された地点では,降雨期間の後半になってなだらかに圧力水頭が上昇し,降雨終了後1~2週間かけてなだらかに下降した。すなわち,このような常時に斜面上部に飽和帯が形成されている地点では,基岩からの湧水の存在が推察された。このように,CPMPと併せてテンシオメータを用いた計測を行うことで,斜面の不均質な水文特性を把握することが出来た。
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